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ハゲと30年

いきなりだが、中学生の頃から同級生に「おまえハゲるぞ」と言われてた。ただの悪口だったのかどうかは覚えていないが、中学生の頃はハゲてはいなかったと記憶する。
ただ、おでこは昔から広かった。

高校時代もおでこの事は随分とネタにされた。反論しようにもおでこが広いという事実は変わらないので仕方がない。それもまた個性!なんて思いながらも「なぜ俺のおでこはこんなに広いのか!?」と涙で枕を濡らす夜もあった(嘘)

家系は父方はみんなハゲ。母方だと祖父はそこまでハゲていなかった気がする。僕は隔世遺伝に賭けていた。

ちなみにおでこは広いけれど他の部分は大丈夫だった。

上京して会社に入って、まずはロン毛にした。学校の校則よりも会社の規則の方が髪型に関しては緩かったからだ。ちょうどキムタクがロン毛でドラマをやっていた頃である。
同じくらいの髪の長さのはずなのだがオデコが広いのでイマイチかっこ悪い。

当時の僕は、
「20代がハゲなければ良い。そこまで耐えてくれ俺の毛根!30代で結婚したらズルっとハゲても良いから!」
そんなふうに考えてた。

まぁ今現在未婚な訳なのだが。

リアップなる発毛剤的なものが出た時には速攻購入した。毎日洗髪のタイミングでおでこに付けたが産毛すら生えてくるイメージが無かったのでやめてしまった。

結果、おでこの広さは進行していたがどこかのタイミングで進行は緩くなった。おでこ以外は薄くない。

僕の家系的におでこの進行が止まった後に全体的にスカってくるはずだ。

でも別に良くなってきた。
40代になって行きつけのBARのマスターの奥さん(美容師)にカットしてもらった時に色々と話し合った結果、坊主にした(バリカンではない。ハサミでカットしたおしゃれ坊主って奴だ。)のが大きかったのかもしれない。

楽になった。おでこ広くて良いじゃないか!なんだろう、この開放感。
もう強風や豪雨で前髪を心配しなくても良い!土砂降りの雨の中、傘を刺さずに歩いても「絵になる」(はずだ)

今まで、いかにおでこを隠すために『カッコ悪い』事をしていたのかを思い知らされる。そりゃーモテないはずだ。

人間はウィークポイントやコンプレックスを隠すために色々と努力する。
しかし、それを隠す姿は実に滑稽なのである。

多様性の時代、ハゲが自虐的にハゲ弄りをしても「他のハゲの人がこれを見たらどう思うんだ!」と怒られる時代になっているらしい。実に悲しいことだ。

デブはデブ、ハゲはハゲ、チビはチビだから良いのだ。

現在、発毛剤は飲み薬も出ており保険適用外で”高価”であるが”効果”もあると言われている。しかし、その薬は飲むのを止めた途端に生えてきた髪の毛は維持を休止し抜けてしまうらしい。魔法は解けるが、お金をかけ続ければ魔法を延長することはできる。

しかし、この薬もおでこからの進行には効きにくいらしい。

ハゲと寄り添って30年。もう良いではないか。よくやった、俺。
46歳のハゲはもう「若ハゲ」ではない。「ただのハゲ」だ。年齢がおでこに追いついた結果になった。

これからも堂々とおでこが広い人として生きていく所存である。

(ちなみにこの文章には”おでこ”が14回、”ハゲ”が15回含まれている)

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2020年、緊急事態宣言下の在宅勤務で茶髪にしてしまった筆者

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