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オリコンはオワコン?ー【書評】ヒットの崩壊

「ヒットの崩壊」と言う新書を読みました。柴 那典さんが書いた本です。

最初は、「売上の定義」から。
オリコンは売上枚数だけで発表しているので、握手券や、通常盤、特別版などと一人が複数買った結果がランキングされています。結果、ここ数年のオリコンの上位にはAKBグループやジャニーズしかいません。
「売れているCD(=売上高)」といえば、やはり、AKBグループやジャニーズ、三代目JSBなどが入るでしょう。

でも、「オリコンで売れている」=「流行っている」が違うのは事実です。

この本では90年代,00年代,10年代と分け、90年代の事をCDバブルと言い切っているのが良いです。僕も90年代は「音楽」が流行っていて、CDを買うのがステータスだった時代だったので。

なので、90年代のオリコンはある程度信用出来ます。インターネットもまだそこまで普及していなかったので、オリコンのトップ10とかを見ればほとんどサビのメロディーは浮かぶのではないでしょうか?

しかし、10年代のオリコンのランキングを見ても、僕には知らない曲が多いし、聞いたことがない曲も多い。勿論、サビなどはわかりません。

あとは、iTunes Storeなどでは、一つのIDで一曲しか買えないので正確な”販売曲数”がわかると思いますが、残念ながらジャニーズなど未加入のミュージシャンが参加していないので、iTunesでヒットを図ると言うのもこれまた不公平。

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本書では”カラオケ”も指標に上がると書いてありますが、僕は違うと思うんですよね。それは、CDバブルの90年代とは違い、カラオケには「歌いたい人」だけが行く場所だからです。行く人は毎回行くし、同じ歌を歌う傾向があると思うので、これも一人が同じ曲を何回も歌えばランキングが上がるんですよね。また、ミスチルなど、「声が出ないから歌わない」と言う曲もあると思います。
90年代のカラオケは飲み会の2次会のポジションを確保していたので、「まあ、付き合いで行くか。」と言うのもありましたが、今は二次会でカラオケに行くことも少なくなって、カラオケ店も減っています。本当に歌いたい人が思いっきり歌える場所。それがカラオケなので、流行とか関係ないんですよね。

さよならカラオケ

では、Youtubeはどうでしょう?ピコ太郎のP.P.A.P.などは凄い数の再生数ですが、最近発売されたCDはどれだけ売れるのでしょう?おそらくCDが発売された事を知らない人も多いと思います。
また、Youtubeには公式以外の所謂「コピー動画」も数多く存在するので、本当に流行っている曲を探すのは難しいと思います。再生数が一つの指標にはナルト思うのですが。Youtubeは基本的にダウンロードが禁止なので、同じ動画を同じ人が何回も見る傾向もありますからね。

本書ではオリコンにおいてAKBは”ハッキング”を行った、と表現しています。さらに、その売れたCDについている投票券でさらに購入者による総選挙を行うと言う技を使っています。これを本書では「2重のハッキング」と表現していて、これまた言い得て妙だなと思いました。

そう考えると、本当に「今、流行っている曲」と言うのを見つけ出すのは難しいのではないでしょうか?

別の章では、「ライブの時代」と称して、「入場規制」がバロメーターになっていると表しています。確かに、その人の音楽を聴きたい人が多い=入場規制になるのですが、これも小屋をわざと(自分達の人気より)小さくする事で「入場規制」を作ることは可能なのです。

また、ライブのチケットが取りにくい。も同じだと思います。極論をすれば、ドームなど(一番大きな箱)でチケットが取れない。と言うのが本当の人気になるかもしれないですね。

また、この本では「聴く」から「体験する」と言う意味でライブを取り上げています。
90年代、所謂「ビーイング」系のミュージシャンが流行りました。音楽番組とカラオケが流行っていた時代です。音楽雑誌も沢山発売していました。数が多すぎて買うのが大変だった位です。
で、ビーイング系のミュージシャンはライブをほとんど行わずに、CDのリリース(ヒットの量産)に費やしました。
新しい曲を作り、発表し、それを聞いてカラオケで歌ってもらう。そういう時代だったのです。
今はテレビの露出を減らして(音楽番組が減っていると言うのもありますが)、「聴きたかったらライブに来て!」と言うのが多くなりました。
僕も若い頃はよくライブに行きましたがライブ版のCDでも再現できないほどの音圧が最高に楽しいです。これは聴覚だけでは体験できないんですよね。実際にライブ会場に行かないと。
そう言うのが増えると言うのは非常に良いと思います。CDと言うバブルを挟んでまた、音楽が元の世界に戻って来た感じです。

J-POP時代の子供達。
最近のミュージシャンのリスペクトするミュージシャンが外国のアーティストではなく、J-POPのアーティストになっている事が多いとも綴っています。つまり、J-POP二世、J-POPをベースに新しい音楽を作るミュージシャンが生まれているのです。
僕の友人の子供(中学生)もバンドを始めましたが、洋楽などは一切聞かず(通過せず)に今はRADWIMPSにはまっています。そういう時代なんでしょう。バンドの練習もRADWIMPSの曲。これからその子供達の音楽のルーツはRADWIMPSになんでしょうね。そこから新しい音楽が生まれる。
だからこそ、J-POPに未来はあると思います。

音楽を「所有」するから「アクセス」するに変わるとも書かれています。
インターネット時代、SNS時代になってCDを買う機会は減っているのは事実です。実際、HMVやタワーレコードは閉店したり、規模縮小したりしています。
僕はまだ「所有」して、CDをMacに読み込ませると言うタイプの人なので古いタイプなのでしょうね。

それにしても、本書のどこかで書いていましたが、老若男女問わずに、「ふと口ずさむ曲」ってのがヒット曲なのかもしれません。高校野球の応援歌になったり、教科書に乗ったり。結果的にわかるものなのかもしれません。

音楽は多様化しています。
なので、ヒット曲を定義するのは難しい世界になっているのは事実。
僕は、自分が好きな音楽を貫けば良いのではないのかなと思います。(僕自身、ヒットチャートなど見ないで自分の感性で音楽を聴いているので。)

最後に、「ヒットの崩壊」と言う主題を根底から覆してしまい申し訳ないと思うのと同時に、やっぱり、「自分が好きな曲が好き。」と言う結論になってしまうんですよね。

みんな、流されるなよ!

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