お問い合わせはここをクリック!

メール職人の訃報

エックスを見ていたら訃報が流れてきた。本当にTwitter時代からこのSNSは訃報が流れてくる事が早い希有なSNSだ。
今回は僕がよく聴いているラジオのメール職人(ハガキ職人)の訃報。
享年が書いてあった。僕よりもずっとずっと若い。人生としては「よっしゃ!これから!」という年齢であろう。

喪失感というより不思議な気持ち。

ラジオはパーソナリティの情報は普通に出ている。芸人さんがやっているラジオなら芸人さんの発信媒体の1つ。存在を認知する事は難しくない。調べれば作家やプロデューサー、ディレクターの名前もわかる。

メール職人さんの中には放送作家とかになる人もいるしYoutubeやSNSで自己顕示をする人もいるだろう。そうすれば存在を認知する事は難しくない。

でも圧倒的にそういう職人さんって少なくて、ほとんどがミステリアスな存在だ。当たり前と言えば当たり前で面白いネタが思い付いてラジオで良く読まれるのは仕事ではない。
本業はサラリーマンだったり学生だったりフリーターだったりするのだと思う。

当たり前だがその人がどんな人かも知らないし、会った事も会話した事も無い。でも、芸人さんのラジオのネタメールで生存確認をする。お笑い芸人の肩書きは無いのにとんでもない発想で送ってくるメールで心の底から笑わせてくれる職人さんは本当に尊敬する。

勿論、就職したり結婚したりと取り巻く環境が変わる事でメールを送らなくなる事もあると思う。職人さんと言っても“引退“とかは無くフェードアウトしていく人は多いのだろう。勿論、帰ってくる事も可能。聴いている僕ですらその時のメンタルによって聴かなかったりする事がある不思議な媒体の世界。

「最近、あの人のメール読まれないな」

となっても特段不思議に思う事は無いのだが、亡くなられていたとわかるとやはり不思議な気持ちになる。

「もう、あの人のメールが読まれる事はないんだな」

漫画家、小説家、今であればYouTuber。
自己で作品を発信する人の訃報ならわかる。

そう考えるとメール職人ってとても不思議な存在だ。ネタメールを考えるのってすごい大変な事だと思う。それもリスナーがラジオネームを覚える位になるって事はそれだけ強いネタを繰り返し送り認知される位まで読まれていると言う事だろう。それでいて見返りとしては良くて番組グッズ位。お金にはならない。
エックスやYouTubeで発信するのはやろうと思えば出来る。でもラジオで読まれるのは少なくとも作家などのハードルを通過する必要がある。僕が知っているメール職人さんでそういうSNSでアカウントを持っている人は多いがそれこそ”ネタ”をポストする人は殆どいない。

そこには強いプライドがあるのかも知れない。

偏見だけど深夜ラジオってあまり人に言えるようなカルチャーでは無いと思う。
もしかしたら社会不適合者のカルチャーなのかも知れない。でも生きづらい世の中、僕を含めて深夜ラジオに助けられてる人は思いのほか多いと思う。だからギャラが物凄く安いと言われているこの座(深夜ラジオ)が長年芸人の憧れの枠になっているのだと思う。芸人たちもきっと深夜ラジオに助けられたのではないか?

そんな深夜ラジオを確実なものにするネタメールだったりリアクションメール。良い職人さんが付いているラジオはやはり破壊的に面白い。決して双方向では無いコミュニケーション。少し不器用な人たちの頭の中。

こんな日は明るい夜に出かけたくなる。意味も無く……

Kanpachitaro

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です