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火消しの思い出

ここらで、SEらしい仕事の話でもしようと思います。まずは、あるプロジェクトの火消しの話。

もともと、このプロジェクトには「テスターとしての手伝い」でした。「まぁ、誰にでもできる仕事だなぁ。」なんて思っていました。テストシナリオを作るのは自社。レビューはお客様先でした。何回かレビューを繰り返すうちに癖がつかめてきて、まぁ、一人前としては働いていたつもりです。

そのうちにプロジェクトがGWに入ります。僕はたまたまお客様先に顔を出していました。プロジェクトはその段階で限界だった模様です。営業部長まで呼ばれます。その部長も知らない仲ではなかったのですが、イケイケの営業がかなり怒っていました。「このままでは損害賠償だ!」とイキっていまいした。

「まぁまぁ、そんなに怒ってもしょうがないよ。」となだめ、自社へ戻る途中の昼食で「俺、入ろうか?」って言ったんです。直属の上長には言っていませんでした。応援先でつい出た言葉です。「助かりますよ。波秋さんなら何とかしてくれる!」って営業は言ってくれました。

その後、上長に報告。上長は僕のことを思って、僕の部署の部長相当職をつけてくれました。これが大きかった。

7月本番を前に、僕が陣頭指揮にあたって最初にしたことは、潰さないといけない(と言われている)課題を全部プリントアウトする事でした。さすがに、プリントアウトは庶務担当の人にやって貰いましたが(ありがとうございます。)、実に250件の事象を解決しないと本番を迎えられない状態でした。

僕は、250件を大きなクリップでつまみ、その一件、一件の内容を咀嚼しながら、ふさわしき担当に割り振りました。そして難しい問題は僕が担当しました。このプロジェクトで問題だったのは、リソースの使い方に問題があったのです。

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適材適所。そういうリソースの使い方をしました。体調不良とかで休む事も考慮して事前に手を打ってました。僕自身の体調については、僕の上長が面倒を見てくれました。ありがたかった。

夜は、仲間を連れて飲みに行きました。ストレスを解消するためです。あとは、役割をかなり簡略化しました。誰に聞けば、何がどうなっているかをわかるようにする為です。

その頃プロジェクトは朝の会議と夜の会議の2回の会議に成っていました。お客様の怒号が飛びます。で、その怒号を受けた連中は、それを僕たちに告げずに自社に戻っていくのです。

「おかしいでしょ。少なくても、今日の会議の結果を僕たちにリターンしてから自社に戻ってください!そうでなければ僕が会議に出席します。」そう言いました。実際、現場に立っている僕が会議に出る方が正しい情報が伝わると思ったからです。

そのうちに、会議の発言の主体は僕になっていました。お客様もそれで理解してくれた模様。結果、お客様が信頼を寄せているのは僕(とその仲間)だけになりました。ある程度、自分の会社の上司も立てたかったですが、本番を前にしてそれはできませんでした。

その頃には、課題番号を言われたら内容と進捗がわかるようになってました。その時だけ、人生のすべてをそのプロジェクトに注いでいたからです。「あぁ、84番ですね。今、再現が出来たので原因究明中です。」とか言えるようになっていました。

そんな僕も休む事はありました。メンタルが張り詰めた状態です。でも上司は優しかった。「ちょっと疲れてるんだな。休め。」と言ってくれました。本当にありがたい。

そんな問題達も、本番前にはほぼ解決してくれました。「課題xxとyyは残っていますが、本番には問題ないと思います。」と言う僕の発言が顧客に通りました。

そして、本番前。朝3時。お客様と飲む機会ができました。正直に話すことができて嬉しかったです。

そして、無事本番を迎える事が…なのですが、本番前日に最後の課題が残りました。解決策は僕は理解していました。急なプログラム変更でしたが、お客様の承諾(ここが大事)を得る事が出来て無事、解決しました。

明け方、問題は解決し、僕は自社にちょっと顔を出して帰りました。

ほんの2か月前、お客様の信用ゼロで始まった火消しですが、無事本番を迎える事ができました。無駄な会議にも沢山出たし、お客様には頭を下げっぱなしでした。

でも、なんていうのかな?無事本番を迎えられたと言う幸せと共に、「お客様に信用された。」と言うのが大きかったです。仲間(年上の人もいましたが。)にも沢山助けてもらった。僕なりの適材適所は間違ってなかった。

本当に苦しかった。でも、助けてくれる人、上司の助けが大変なモチベーションに繋がりました。

ちなみに、ボーナス査定は最高でした。

火消しはなるべくやりたくありませんが、僕を高めてくれるのも数多くの火消しなのだなぁ。と思うのです。

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