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原田宗典との出会い

原田宗典と言う小説家・エッセイストがいます。一時期はものすごい量のエッセイを書いていて僕はエッセイストとして認識しています。僕がWeb日記を書いたり、文章を書くのが好きになるきっかけをくれる作家でした。

その原田宗典と言う作家との出会いを思い出してみました。

遡ること四半世紀。僕が入社2年目の事です。当時、肺に穴が空いていまして(気胸って病気です)、「肺が痛いなぁ。でも1週間くらいで治るからなぁ」なんて思いながら通勤していました。(しょっちゅう穴が空いてたので慣れてました)
で、ある日、健康診断の再検査があったのです。「肺に影が見える」って言う奴での再検査だったのですが、ちょうど肺が痛い時期だったので「大丈夫かなぁ」なんて思いながらレントゲンを撮りました。

その後、すぐに呼ばれ「今すぐ入院してください!!」と言われました。これにはびっくりしましたね。とにかく病院へ!と入院の紙に色々と記入させられ、タクシーで病院まで(救急車では無かったです)。

病院に着くなり車椅子で運ばれて診察室へ呼ばれます。健康診断の再検査でとったレントゲン写真を見せられて、「波秋さん、肺は痛くないの?」と聞かれます。「まぁ、痛いですけれどそこまで苦しくはないです」って言ったんですけれど「あなたの右肺は4割、左肺は6割までしぼんでいるよ。両方の肺に穴が空いてるんだ。このままだと死ぬよ!」と言われてびっくりした思い出があります。

とりあえず応急処置をして、車椅子のままいろんな場所へ運ばれて色々と検査です。「とりあえず、階段の上り下りとかは絶対にダメ!車椅子で移動して」と言われました。朝の満員電車でぎゅーぎゅーに揉まれて通勤した僕は一体…ってなもんです。

と、言うわけでスーツを着たままの緊急入院だったのです。入院の準備など一切なし。下着は相部屋(当初は寮で1部屋に2人で住んでました)の人に後ほど持ってきて貰う事に。
今みたいにスマホどころか携帯電話もないですし、PCの持ち込みってかノートPCがない時代ですからそう言う暇つぶしの電子機器は一切ない状態。

暇なので、車椅子で売店に行って小説(の中で一番薄い奴)を購入しました。それが原田宗典のエッセイ「元祖スバラ式世界」でした。

Mig

全然前知識がなくて読んだんですけれど、これが面白い。本当に面白いんですよ。ビックリしました。文章で人を笑わせるって文学を初めて知ったのではないでしょうか?

ちなみに僕が入院した病名は「気胸」でこの病気、笑うのが一番苦しいんですよ。

本を読んでいて笑うので、ものすごく肺が痛く苦しいんです。文字通り、死ぬほど笑った(両肺気胸だったので本当に死ぬかと思った)本です。

手術自体は無事成功(当たり前か)し、退院となりました。退院後は原田宗典さんの本を買いまくりましたね。エッセイも勿論ですし、小説とかも買いました。

本当に人を笑顔にする文章、人を楽しませる文章、考えさせる文章を学んだ気がしますね。僕は小説とかはあんまり読まなかったんですけれど、文字を読むのが好きですし、エッセイと言うジャンルがとても好きになったのは確実に原田宗典さんの影響です。
もし、僕が原田宗典さんの作品に出会っていなければWeb日記も書かなかったかもしれませんし、この”ドーナッツ方位”は無かったかもしれません。

ただ、ある時から原田宗典さんの作風が変わってきます。もともと遅筆だったのですが、とにかく新作が出ない。と思っていると、躁うつ病を患っていたとのこと。「あんなに面白い文章を書く人も鬱になるんだな」なんて思っておりました。

そして2013年、覚せい剤と大麻の所持で逮捕された時には本当に悲しかったです。鬱である孤独な作家として麻薬に手を出してしまったのでしょうか?久々に見た”原田宗典”の文字をこんな形で見るのは辛かったですね。

それ以降の作品は僕は読んでいません。

ちなみに、何回も引越しをしておりますが、原田宗典さんの作品だけが詰まった段ボール箱があります(2000年位までの全作品)。2回の引越しで開けず、そのままの形で今の住居でも段ボールに入っていますけれど、今一度、彼の作品で笑ってみようと思います。

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