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異業種交流会に行った時の話

六本木のお見合いBARで知り合った女性と恋愛と言う意味とは別にたまに飲んでいた。新橋でお互いのパートナーの愚痴を聞いたり、写真が趣味と言う事で 僕が持っているギターの写真を撮ってもらったりしていた。

その子はラーメンズが好きでDVDを貸したりもしていた、でも性的な関係はなかった。不思議な関係。

ある時その子から「異業種交流会に行かないか?」という打診があった。合コンと言うより社会人が集まって立食で飲みましょうって奴だ。今でもやっているのだろうか。その時は好奇心もあって行ってみることにした。

場所はどこだか覚えていない。オシャレな土地だったような気がする。入場だけその子と一緒に入れば後は単独行動。

いくつかのテーブルが並べられビュッフェスタイルで立食パーティーになっている。部屋の照明はちょっと暗め。
あくまでも、”交流会”なので、その場でカップル誕生とかそう言う下劣なものではないはずだ。

しかし僕が思っていた”異業種交流会”と言うのは最近の情勢や仕事内容で色々と情報交流するものだと思っていた。

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だが、どうだ。そんな話はどこでもしてない。
女性のもとに男性が近づき”名刺”を渡す。そして、その名刺のステータスをみた女性が「話しをしてもよいかな」と思った時に会話が始まる。

しばらくして男性・女性の武器が暗黙にある事がわかった。”社会的ステータス”だ。それを示す魔法のカード、それが”名刺”。

僕も名刺は持っていっていた。なぜなら仕事帰りだったから。僕の名刺は一流大企業の主任。悪くはない。が、インパクトにかける。やはり人気があるカード(名刺)はメディア業界や銀行・商社だ。

メディア(放送局、出版社)のカードを持っている人の周りには女性が集まる。SSランクのカードだ。強い。誰だってお酒を飲みながら(芸能)業界の(裏)話は聞きたいだろう。だが、それは恋愛には紐づかない可能性が高い。なぜならそう言う業界はある程度の地位に上り詰めるまで薄給なのだ。

さて、女性達がそう言う”エキシビションマッチ”を行った後に待ち受けるのはURのカードをもった男性……。医者・弁護士と言った物凄い人たちだ。こうなると形勢は一転する。男性が女性を選べる立場になるわけだ。何せ社会的地位だけでなくお金もある。
そうなってくると女性側は出身大学や自分がいかに家庭的であるかのプレゼン大会に一気に様変わりする。

異業種交流会は不思議な場だった。
簡単に言うとマウンティング大会。

マウンティングの頂点に立っている人が王様なのだ。そして、最上位クラスの交流が行われている、そしてカーストの一つ下に属する人たちでまたカーストを作る。

僕のようにRカードのようなカースト最下層の人たちもたむろするがほとんど会話もせず、ただお酒を飲みビュッフェの料理を食べる。後は時間が過ぎるのを待つだけの時間だ。会費のもとを取るだけの時間潰し。

合コンのように気になった女性に声をかけようとしても強いカードを持った男性たちに囲まれて入る余地はない。実に無残だ。

僕の会社だって、売上高でいえば日本のトップ20には入る会社。福利厚生がしっかりとしていて公務員のような安定感のある会社。決して悪くはない。が、華もない。

このような場には”華”がある職業が絶対なのだ、強いのだ、勝者なのだ。

始まったばかり、まだ周りがざわざわしている間に何人かの人と名刺交換をした。帰ってきてその名刺を見ると確かに”面白そうな”仕事をしている。URカードは流石に手には入らなかったが、俺のデッキに入れても戦力になりそうなカードたち。

しかし、名刺だけ交換した人物と後日「あの時のxxです」などと話せるだろうか?答えは否である。

おそらく、僕の見えない場所でマウンティング上位の人がその場でメアドを交換してそのままホテルにでもしけ込むのであろう。

そう言う意味では僕は合コンの方が好きかもしれない。自分の話術が武器になるからだ。持っているカードの力だけでしか戦えない異業種交流会。これは僕にとっては”つまらない”の何者でもなかった。

おそらく、その時の僕のカードの肩書きが”部長”以上だったら僕は今頃家庭を持っているかもしれない。

スマホ普及率もまだ低く、LINEみたいなサービスがない時代の異業種交流会。今でも同じようなことが行われているのだろうか?

今度行くなら同業他社の技術交換会に参加してみたい。

この経験は”名刺のチカラ”を知るいい機会だったが、2020年はどんな人がマウンティングをとっているのだろうか?
少々興味もある。

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