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新宿中の街を回っておもちゃを探した日

ある夏の日。

僕は夏休みを持て余していた。
独身の男性の休日のお昼を充実して過ごせる人が羨ましい。夜になれば飲みに行ける。昼から1人で飲むほど僕は酒好きでは無い。

ガラケーはあるけどスマホはない時代。

新宿をぶらぶらしていた。
しばらく歩いていると電話が鳴る、北海道の友人からだ。数年ぶりの友人からの電話に心躍る。

「子供がなんちゃらっておもちゃを欲しがってるんだけど俺が住む田舎では手に入らない。なんとかならんか?」って言う内容の電話。

夏の日だったのでクリスマスプレゼントとかではない。だとすると誕生日プレゼントであろう。

どうにも日曜のテレビ朝日の朝の番組でやってる「ほにゃらら戦隊なんとかジャー」の変身アイテムらしい。

聞くと「息子が初めておねだりをした商品」との事。

真夏の昼、僕はそのグッズを探し回った。

新宿には家電店が沢山ある。有名家電量販店だけではなく、多くの百貨店の中の玩具屋も穴場ではある。
僕は汗だくになりながら色んな店を回った。

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これはお金も使わないしウォーキングにもなる。実に充実した時間の使い方だ。
半日くらい使い限りなく新宿の玩具屋を探し回ったが全て品切れであった。

その日は諦めて家に帰りパソコンでヤフオクを開き当該の商品を探す。
…とんでもない値段が付いていた。

スマホがあればすぐにヤフオクを見てプレミアがついているかはわかっただろう。
しかし、当時はガラケーだったのだ。

色々とネットを見る。
「子供がどうしても欲しがっているから!」とハンドメイドで作るお母さんたちの情報も目に入ってきた。

僕は友人に言った。
「新宿を探したが無理だった…ヤフオクではとんでもない値段が付いている」と。

まだメルカリは無かった時代…

やっぱそーなんだ。
商売がアコギだよなぁ。と友人は言っていたが友達の初めての息子が初めて欲しがったモノを手に入れたいという気持ちは痛いほどわかる。

転売ヤーなどはまだいない時代だったが、この場合は玩具メーカーの戦略にハマった形になった。

大人の財力を使って手に入れるのとはなんか違う。これは僕も友人も一緒の意見だった。

そんな友人の息子ももう高校生だ。
時代が流れるのは早い。

ちなみに2021年9月現在、テレビ朝日では『機界戦隊ゼンカイジャー』と言うのがやっているらしい。
もちろんそれに伴っておもちゃが売られている。

昔からこの時間は子供の時間だ。日曜の朝なのに喜んで子供が早起きする日。
アコギな商売はまだ健在のようだ…。

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